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コラム

2021.03.17
贈与と相続はどちらが得?金銭の生前贈与する際のメリット・デメリットを徹底解説!

現金や預金を生前贈与する際、やるべき手続きはほんとどありません。
また金銭贈与は、渡す金額を1円単位で決めらるため、贈与しやすい財産です。
ただ生前贈与する時に注意すべきポイントもありますので、本記事では金銭贈与のメリット・デメリットについて解説します。

現金・預金を生前贈与するメリット

贈与金額が年間110万円以内なら贈与税は非課税

生前贈与した財産は贈与税の対象になりますが、年間110万円までなら非課税控除額以内に収まるため、贈与税は非課税です。
110万円の非課税控除はどんな贈与財産も控除対象になります。
不動産を110万円分だけ贈与するのは難しいですが、現金や預金なら110万円に金額を合わせて渡すことができるため、非課税控除の限度額まで使いたい場合に金銭贈与は利用しやすいです。
また110万円の非課税控除は毎年利用できるため、金額を毎年110万円以内に抑えて贈与すれば、贈与税を支払わずに財産を移動させられます。

基本的に金銭贈与でやるべき手続きはない

不動産を贈与する場合は登記手続きが必要で、贈与税以外にも登録免許税と不動産取得税を納めることになります。
一方現金贈与は、贈与税以外に支払う税金はありません。
また贈与税についても、納税額が発生しなければ申告書を提出する義務はないため、110万円以内の贈与の場合、申告手続きも不要です。
(贈与税の特例制度を利用する際は申告が必要となります。)

生前贈与は相続税対策としても有効

相続税は、相続が発生した時点で亡くなった人が保有する財産に対して課税します。
生前中に贈与により財産を移動されば、相続開始時点の財産は減少するため、生前贈与には相続税の節税効果もあります。
ただ生前贈与の注意点として、相続財産を取得する人が相続開始前3年以内に贈与を受けた場合、3年内の贈与財産は相続税の計算に加算しなければなりません。
そのため、相続税開始直前に贈与をしても相続税の節税効果は期待できませんので、相続税対策として生前贈与する際は、贈与する時期に気を付けてください。

金銭の生前贈与をする際に気を付けるべきポイント

双方が贈与に合意していないと贈与行為は成立しない

贈与行為は、贈与者と受贈者が同意することで成立するため、贈与者が一方的に財産を渡しても贈与とはみなされません。
たとえば贈与者が受贈者名義の銀行口座を作成し、毎年お金を振り込んでいた場合、受贈者がその銀行口座の存在を知らなければ、贈与は成立しません。
また振り込まれた口座は、贈与者が受贈者の名義を借りてお金を積み立てていた『名義預金』の扱いとなります。
名義預金は贈与者の財産なので、贈与者が亡くなった際の相続税で課税対象です。
したがって名義預金と判断されないためには、贈与者と受贈者が贈与することを認識し、贈与行為自体を証明する必要があります。

現金贈与は税務署に否認される可能性がある

相続税の税務調査では、税務署は生前贈与の実態も調べます。
税務調査を受けた際に贈与事実を証明できないと、贈与行為が否認され、相続財産として相続税が課されることもあります。
預金の贈与は、贈与者と受贈者の通帳に振り込み履歴が残るため、贈与事実を確認しやすいです。
一方、贈与契約書を作成していない現金贈与の場合、贈与事実を確認できる資料がないと、税務署は贈与を否認する可能性があります。
ただ贈与事実を証明できれば、贈与を否認されることはないので、現金を贈与する際は贈与を証明する書類として、贈与契約書を作成することも検討してください。

贈与税は財産をもらった人が申告・納税手続きをする

110万円を超える贈与が行われた場合、受贈者が贈与税の申告・納税手続きを行います。
贈与税は、受贈者が1月1日から12月31日の1年間で受けた贈与財産の合計金額から、110万円を差し引いた金額が課税対象となります。
<贈与税の計算式>
贈与財産の合計金額-110万円(基礎控除額)=課税価格
課税価格×贈与税の税率=贈与税

贈与税の税率は『一般税率』と『特例税率』の2種類あり、原則は一般税率で贈与税を計算します。
また受贈者が20歳以上で、贈与者が直系尊属(親や祖父母)の場合は、一般税率ではなく特例税率を用います。
基礎控除後の課税価格が300万円までは、一般税率と特例税率は税率です。
ただ300万円を超えてからは、特例税率の方が税率は低く設定されています。

<贈与税の税率>
【一般税率の速算表】

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

【特例税率の速算表】

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

相続時精算課税制度を活用する際のポイントと注意点

親・祖父母からの贈与に対して適用できる

相続時精算課税制度は、20歳以上の受贈者が60歳以上の父母または祖父母から贈与を受けた際に適用できる特例です。
特別控除額は2,500万円であり、2500万円を超える贈与が行われた際の贈与税の税率は、一律20%です。
また特別控除額は、生涯で使用する控除額です。
たとえば1,000万円の贈与に対し相続時精算課税制度を利用した場合、残った特別控除額1,500万円は翌年に繰り越します。
翌年以降に贈与を受ける場合、残額1,500万円の特別控除額を使用し、残額あればまた翌年に繰り越します。
なお相続時精算課税を適用した贈与財産は、贈与者が亡くなった際の相続税の計算に加算しなければなりません。
一方で相続時精算課税制度を適用して納めた贈与税は、相続税から差し引くため、相続税よりも納付した贈与税が多い場合、控除しきれなかった贈与税は還付されます。

特別控除額2,500万円は特定贈与者ごとに利用可能

相続時精算課税制度は、贈与者ごとに特例を適用するかを判定します。
両親から贈与を受けた場合、父の贈与には相続時精算課税制度を適用し、母の贈与には相続時精算課税制度を適用しない選択も可能です。
また2,500万円の特別控除額は、贈与者ごと与えられており、両親からの贈与に対し相続時精算課税制度を適用すれば、最大5,000万円までは非課税となります。

相続時精算課税制度を適用すると110万円控除は利用できなくなる

相続時精算課税制度は、110万円控除(暦年課税)の代わりとして適用します。
ただ相続時精算課税制度を一度選択すると、暦年課税制度に戻すことはできません。
金銭贈与の場合、毎年110万円以内に収めて贈与することもできるため、まとまった金額の贈与をしない場合、相続時精算課税制度を利用して贈与するメリットは少ないです。
ただ110万円控除を適用できないのは、相続時精算課税制度を利用した特定贈与者からの贈与のみですので、相続時精算課税制度を利用していない贈与者からの贈与に対しては、110万円控除を適用できます。
なお相続時精算課税制度を適用する場合、贈与税の申告書は期限内に提出するのが必須条件で、申告期限を過ぎると相続時精算課税制度は適用できません。

金銭の生前贈与の手続きの流れ・必要な書類

贈与契約書は可能な限り作成すること

贈与契約書には、以下の事項を記載する必要があります。
<贈与契約書に記載する内容>
● 贈与者の住所・氏名
● 受贈者の住所・氏名
● 贈与財産の種類・金額
● 贈与年月日
● 贈与契約書の作成年月日

贈与契約書を作成しなくても、現金の贈与は可能です。
ただ贈与契約書を作成し、現金贈与を行った方が税務調査のリスクが軽減されます。
また銀行口座にお金を振り込む場合でも、受贈者が普段使用していない口座への振り込みは、名義預金を疑われる可能性もあるためご注意ください。

贈与税の申告は翌年2月1日から3月15日

贈与税の申告期間は、贈与を受けた翌年2月1日から3月15日で、申告書を提出する税務署は、申告する時点で住んでいる場所を管轄する税務署です。
また贈与税は自主申告・自主納付制なので、贈与税の申告書を提出しても納付書が送付されません。
納付期限は申告期限と同じ翌年3月15日です。
そのため贈与税の申告書を提出したら、納付期限までに所轄の税務署窓口または銀行で贈与税を納めてください。

金銭不動産の生前贈与手続きの依頼先と費用

贈与契約書作成は行政書士・司法書士

贈与契約書は自身でも作成できますが、行政書士または司法書士に依頼し、契約書を作成してもらうことも可能です。
契約書の作成費用は数万円が相場で、契約書の枚数や契約内容により、報酬金額は変わります。
契約書の内容に不備があると、後々問題になりますので、確実に生前贈与を履行したい場合は、専門家に契約書の作成を依頼してください。

贈与税の申告手続きは税理士

贈与税は、受贈者自身が申告書を作成し提出しても問題ありません。
現金・預金贈与の場合、複雑な計算はほとんどなく、国税庁のホームページで申告書をすることも可能です。
一方、贈与税の申告書作成の代行する際は、税理士に依頼してください。
贈与税の税理士報酬は、固定報酬と贈与金額に応じて変わるケースの2パターンあり、現金贈与による贈与税の申告書の場合、数万円で引き受けてくれる税理士事務所も存在します。
なお税理士に依頼した場合、税務調査の連絡は税務署から税理士に入るため、税務署から直接の連絡を避けたい人は、税理士に申告書作成を依頼することも検討してください。

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