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コラム

2021.03.30
贈与と相続はどちらが得?不動産の生前贈与のメリット・デメリットを徹底解説!

子に不動産を渡す場合には相続が一般的ですが、相続はいつ発生するかわかりません。
それに対し生前贈与は、不動産の渡すタイミングを決められますし、相続税対策としての効果もあります。
ただ不動産の生前贈与にはいくつか注意すべき点もありますので、生前贈与のメリット・デメリットについて解説します。

不動産を生前贈与するメリット

不動産を承継してほしい人に財産を渡せる

生前贈与しなくても、相続が発生すれば不動産は渡せるため、贈与する必要はないと思うかもしれません。
ただ相続財産を取得する権利は、各相続人に与えられているため、他の相続人が不動産を取得する可能性もあります。
生前贈与は相続とは違い、贈与者と受贈者が同意していれば、渡したい相手に不動産を贈与できます。
そのため不動産を確実に承継させたい人がいる場合は、贈与で渡すことも選択肢に入れてください。

生前贈与した財産は相続税の課税対象から除外される

相続税は、相続開始時点で被相続人の保有していた財産が対象となるため、生前に財産を移動させれば、相続税の対象となる財産を減らせます。
また相続税は相続財産の総額が大きいほど税率が上がるため、相続財産を減らすことで、相続税の税率を抑える効果も期待できます。
ただ相続開始前3年以内に亡くなった人から受けた贈与財産は、相続財産に含めて相続税の計算をします。
そのため相続開始直前の贈与に、相続税の節税効果は期待できません。

不動産の生前贈与で気を付けるべきポイント

贈与税は財産をもらった人が申告・納税手続きをする

贈与税には110万円の基礎控除額があり、控除額以内の贈与であれば申告手続きは不要です。
しかし110万円を超える贈与を受けた場合、財産をもらった人が贈与税の申告・納税手続きをしなければなりません。
贈与税の申告期間は、贈与を受けた翌年2月1日から3月15日です。
贈与税の申告期限を過ぎた場合、本税以外に罰金として加算税・延滞税を支払うことになりますので、手続きは期限内に済ませてください。

贈与税は課税価格が高いほど税率が上がる

贈与税は、贈与財産の金額が高いほど税率が上がります。
不動産は財産価値が大きいため、一度に土地全体を贈与すると多額の贈与税が課される可能性もあるため、注意が必要です。
また贈与税には、『一般税率』と『特例税率』の2種類あります。
特例税率は、20歳以上に受贈者が直系尊属(親や祖父母)から贈与を受けた際に適用する税率で、一般税率よりも税率は低く設定されています。
それでも贈与財産が高額になると、多くの贈与税を納めることになりますので、後述します『相続時精算課税制度』の利用も検討してください。

<贈与税の税率>
【一般税率の速算表】

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

【特例税率の速算表】

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

登録免許税・不動産取得税の税率は相続取得よりも高い

不動産を生前贈与する場合、贈与税以外に登録免許税と不動産取得税も支払うことになります。
登録免許税は、不動産の登記手続きを行う際に支払う税金です。
登録免許税は、登記原因によって税率は異なり、贈与登記よりも相続登記の方が税率は低く設定されています。

登記原因 課税標準 税率
贈与 不動産の価額 2%
相続 不動産の価額 0.4%

一方不動産取得税は、不動産を購入または建築などにより取得した際に課される税金です。
不動産を贈与取得した場合は不動産取得税の課税対象になりますが、相続取得だと不動産取得税は課されません。
そのため生前贈与により不動産を渡した場合、相続取得よりも登録免許税と不動産取得税の支払う金額は多くなります。

<不動産取得税の計算式>
不動産取得税=取得した不動産の価格×税率
【不動産取得税の税率】

不動産の取得日 土地 家屋(住宅) 家屋(非住宅)
平成20年4月1日から
令和3年3月1日まで
3% 3% 4%

不動産贈与で活用すべき相続時精算課税制度の特徴と注意点

親・祖父母からの贈与に対して適用できる

相続時精算課税制度は、2,500万円までの贈与財産が非課税になる制度です。
20歳以上の受贈者が、60歳以上の父母または祖父母から贈与を受けた際に適用できます。
相続時精算課税制度は贈与財産に条件は無いため、不動産を贈与する際に利用できるのがポイントです。
また特別控除額2,500万円は、生涯で使用する控除額です。
たとえば1,000万円の贈与に対し相続時精算課税制度を利用した場合、差額1,500万円は翌年に繰り越し、翌年以降に贈与を受ける際に1,500万円の特別控除額を使用して贈与税を計算します。
そして特別控除額2,500万円を超えた場合には、一率20%の贈与税が課されます。
なお相続時精算課税制度を適用する際は、贈与税の申告書を必ず期限内に提出しなければなりません。
申告期限を1日でも過ぎると、特例は適用できませんのでご注意ください。

特別控除額2,500万円は特定贈与者ごとに利用可能

相続時精算課税制度の2,500万円特別控除は贈与者ごと与えられており、父と母から贈与を受けた場合、それぞれの贈与財産に対して2,500万円の特別控除を使用できます。
また相続時精算課税制度は、贈与者ごとに適用の有無を選択できるため、父の贈与には相続時精算課税制度を適用し、母の贈与には110万円控除を適用することも可能です。
なお相続時精算課税を適用した贈与財産は、贈与者が亡くなった際の相続税の計算に加算しなければなりませんので、贈与税は無税でも相続税として税金が課されるケースもあります。

110万円の基礎控除額は利用できなくなる

相続時精算課税制度は、暦年課税制度の代わりとして適用する制度です。
110万円控除は、暦年課税制度を利用した場合に適用できる控除なので、相続時精算課税を選択すると、特定贈与者からの贈与に対して110万円控除は使えません。
また相続時精算課税制度を適用した年以降は、特定贈与者からの贈与は暦年課税制度ではなく、相続時精算課税制度により贈与税の計算をします。
なお110万円控除を適用できなくなるのは、特定贈与者からの贈与のみです。
そのため相続時精算課税を適用していない贈与者からの贈与に対しては、110万円控除を使用して贈与税の計算をします。

不動産の生前贈与の手続きの流れ・必要な書類

不動産の贈与契約書は作成すること

不動産の贈与登記をする際、登記原因の贈与行為を証明する「登記原因証明情報」の書類が必要となります。
贈与は口頭でも成立しますが、贈与契約書は登記原因証明情報として使用する書類となるため、不動産の贈与をする際は、贈与契約書を作成してください。
また贈与契約書には、以下の事項を記載する必要があり、記載不備があると登記手続きに支障が出ますので、ご注意ください。
<不動産の贈与契約書に記載する事項>
● 贈与者の住所・氏名
● 受贈者の住所・氏名
● 贈与物件の地番、地目、面積
● 契約日

不動産の登記名義の変更手続きは法務局

贈与契約書を作成しましたら、契約書の内容に基づき、不動産の名義変更手続きを行います。
不動産の贈与登記は、不動産の所在する地域を管轄する法務局で手続きします。
登記申請は贈与者と受贈者が共同で行い、申請する際は以下の書類を用意してください。
<不動産登記時に必要な書類>
● 登記申請書
● 贈与を証明する書類(不動産の贈与契約書)
● 贈与する不動産の登記済証(登記識別情報でも可)
● 贈与者の印鑑証明書(作成後3か月以内のもの)
● 受贈者の住民票の写し
● 登録免許税(通常は収入印紙で納付)

贈与税の確定申告手続きは受贈者が行う

贈与税は、財産をもらった翌年2月1日から3月15日の期間に、申告および納税手続きをしなければなりません。
建物と土地で贈与税の課税対象金額の評価方法は異なり、建物の贈与税評価額は固定資産税評価額です。
一方土地の評価額の計算には、国税庁が公表している路線価図を使用し、路線価が設定されていない地域については、倍率方式で評価額を算出します。
路線価は、道路に設定されいる路線価格を用いて計算する方法で、路線価×面積でおおよその贈与税評価額を算出できます。
また倍率方式は、固定資産税評価額に国税庁が定めた倍率を乗じて評価額を算出するため、路線価方式よりも計算は簡単です。

不動産の生前贈与手続きの依頼先と費用

贈与契約書作成は行政書士・司法書士

贈与契約書の作成を代行するする場合、行政書士または司法書士に依頼することになります。
作成する際の費用の相場は数万円ですが、契約書の枚数や契約内容によって報酬金額は変わります。
また贈与契約書は贈与者・受贈者本人でも作成できます。
ただ契約書の内容に不備があると契約書としての効力が発揮されませんので、適切な贈与契約書を作成する場合は、行政書士または司法書士に作成依頼をしてください。

不動産登記手続きは司法書士

不動産登記手続きの代行は、司法書士に依頼することになります。
登記変更手続きの報酬は3万円台から対応している事務所もありますが、登記する不動産の筆数や、登記する内容によって報酬金額は変わります。
また不動産登記は、司法書士に依頼せず、本人が登記手続きすることも可能です。
ただ贈与登記の必要書類や記載事項は厳格であり、不備があると法務局では登記申請を受理しませんので、ご注意ください。

贈与税の申告手続きは税理士

贈与税の申告書作成は、税理士が行います。
贈与税の作成報酬は10万円前後から依頼できますが、贈与金額に応じて報酬額が変わる税理士事務所もあります。
また受贈者本人が贈与税の申告書を作成し、提出することも可能です。
しかし贈与税の申告を作成する場合、申告する人が不動産の贈与税評価額を算出しなければなりません。
土地の評価額は、土地の形状によって補正処理が必要で、補正計算をすることで贈与税評価額が2,3割下がるケースも珍しくありません。
また贈与税評価額の計算が誤っていると、税務調査を受ける可能性もありますので、調査リスクを下げるために税理士に申告書作成を依頼するのも選択肢になります。

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